拝啓、わたしの「こころ」さん。


みなさん、こんにちは! 心理カウンセラーの「らいおんハートおじさん」です。
あの手紙を、何度も読み返しました
拝啓、わたしのこころさん。
お元気ですか?
……なんて聞くのも、少し変ですね。
だって、
あなたはずっと私の中にいたのですから。
私が笑っているときも。
「大丈夫」と言っているときも。
誰かのために頑張っているときも。
そして、
ひとりになった途端、
ふっと力が抜けてしまったときも。
あなたは、
ずっと私のそばにいました。
少し前、
あなたから5通の手紙が届きました。
「あなたのこころから速達が届いています」
そんなところから始まった、あの手紙。
最初は、
「私のこころが手紙を書くなんて、おかしな話だな」
なんて思っていました。
でも、不思議ですね。
読み進めていくうちに、
胸の奥が少しずつ苦しくなってきました。
そして、気がついたんです。
「ああ…これ、私のことだ」と。
あなたが書いてくれた言葉は、
どれも特別なことではありませんでした。
もっと休みたい。
本当は嫌だった。
悲しかった。
寂しかった。
誰かに気づいてほしかった。
もう少し、
自分のことも大切にしてほしかった。
そんな、
誰にでもありそうな気持ちばかり。
なのに私は、
それらをずっと見ないふりをしてきました。
今日は、
その返事を書こうと思います。
今まで聞かなかった、あなたの声に。
「大丈夫」と言い続けてきた私へ
思えば私は、ずいぶん長い間、
「大丈夫」という言葉を使ってきました。
仕事で嫌なことがあっても、
「大丈夫」
家族のことで心配なことがあっても、
「私が頑張れば大丈夫」
誰かに嫌なことを言われても、
「まあ、いいか」
と笑っていました。
本当は傷ついていたのに。
本当は腹が立っていたのに。
本当は、
「そんな言い方をされたら悲しいよ」
と言いたかったのに。
私はいつも、
自分の気持ちよりも先に、
「相手はどう思うだろう」
と考えていました。
嫌われたくない。
迷惑をかけたくない。
心配をかけたくない。
空気を悪くしたくない。
だから、我慢しました。
譲りました。
笑いました。
そして、
何でもない顔をしてきました。
そのほうが、
うまくいくと思っていたからです。
でも、
あなたは知っていたんですよね。
私が「大丈夫」と言うたびに、
「本当に?」と
そっと聞いてくれていた。
私は、その声を
聞かないふりをしていただけだったんですね。

あなたは、私を困らせていたんじゃなかった
以前の私は、
心が疲れていると、
「どうしてこんなことで落ち込むんだろう」
と思っていました。
ちょっとしたことでイライラする。
何もする気になれない。
人に会うのが面倒になる。
眠れない。
涙が出る。
理由もないのに焦る。
誰かの機嫌が気になる。
そんな自分を見るたびに、
「もっとしっかりしなきゃ」
と思っていました。
でも、今なら少し分かります。
あなたは、私を困らせていたんじゃなかった。
私を困らせるために、涙を流していたわけでも。
私を困らせるために、疲れを感じさせていたわけでも。
私を困らせるために、
「もう頑張れないよ」
と教えてくれていたわけでもなかった。
むしろ反対だったんですね。
あなたはずっと、
「もう少し自分を大切にして」
と教えてくれていた。
それに気づけなかった私に、
「そろそろ気づいて」と
小さなサインを送ってくれていた。
そう考えると、
今まで嫌っていた自分の弱さが、
少し違って見えてきました。
私は、私の気持ちを置き去りにしていました
私は、
誰かを大切にすることは得意でした。
家族のこと。
職場の人のこと。
友達のこと。
周りの人が困っていたら、放っておけませんでした。
誰かが困っていれば、
「大丈夫?」
と声をかける。
誰かが悩んでいれば、
「何かできることはない?」
と考える。
誰かが嫌な思いをしないように、先回りする。
そんなことばかりしていました。
でも、ある日ふと思ったんです。
「私は、自分には『大丈夫?』って聞いてあげたことがあるだろうか」
と。
不思議なものです。
人には優しくできるのに、
自分には、とても厳しい。
誰かが疲れていたら、
「今日は休んだほうがいいよ」
と言えるのに、
自分が疲れていると、
「これくらい頑張らなきゃ」
と言ってしまう。
誰かが失敗したら、
「誰にでも失敗はあるよ」
と言えるのに、
自分が失敗すると、
「どうして私はこんなこともできないんだろう」
と責めてしまう。
私はずっと、
自分のこころだけを後回しにしていたんですね。

少しだけ、自分の本音を聞いてみる
あなたから手紙をもらってから、
私は少しずつ変わり始めました。
といっても、
急に強くなったわけではありません。
何でも気にしなくなったわけでもありません。
人の機嫌が気にならなくなったわけでもありません。
相変わらず、
「これを言ったら嫌われるかな」
と考えることもあります。
「こんなことで疲れるなんて、自分は弱いな」
と思うことだってあります。
でも、
一つだけ変わったことがあります。
そんな自分に気づいたとき、
「本当はどう感じている?」
と、聞いてあげられるようになったんです。
たった、それだけ。
でも、
私にとっては大きな変化でした。
たとえば、
「今日は疲れたな」と思ったら、
「もっと頑張らなきゃ」
ではなく、
「そっか。今日は疲れたんだね」
と言ってあげる。
誰かの言葉に傷ついたら、
「気にしすぎ」ではなく、
「それは悲しかったよね」
と言ってあげる。
本当はやりたくないことがあったら、
「みんなやっているんだから」
と押し込める前に、
「私は本当はどうしたい?」
と聞いてみる。
それだけでも、
こころの中の空気が少し変わることがあります。
本音を聞くことは、わがままになることではありません
以前の私は、
「自分の気持ちを大切にしたら、わがままになるんじゃないか」
と思っていました。
嫌なものは嫌。
疲れたら休む。
無理なものは無理。
そんなことを言ったら、
「自分勝手だと思われるんじゃないか」
と怖かったんです。
でも、
今は少し違う考え方をしています。
自分の本音を聞くことと、
自分の思い通りにすることは、
同じではありません。
「私は今、悲しい」
と気づくこと。
「本当は嫌だった」
と認めること。
「今日は休みたい」
と思っている自分を知ること。
それだけなら、
誰かを傷つけるわけではありません。
むしろ、
自分の気持ちを無視し続けるほうが、
いつか心の余裕をなくしてしまうこともあります。
だから私は、
自分の本音を聞くことは、
わがままになるためではなく、
自分を大切にするための最初の一歩なんだと思うようになりました。

ありがとう、こころさん
こころさん。
あなたに謝らなければいけないことがあります。
今まで、
あなたの声をたくさん無視してきました。
「疲れた」と言っていたのに、
「まだ頑張れる」
と言いました。
「悲しい」と言っていたのに、
「そんなことで落ち込んじゃダメ」
と言いました。
「嫌だ」と言っていたのに、
「我慢すればいい」
と言いました。
「寂しい」と言っていたのに、
「一人でも大丈夫」
と言いました。
今思えば、
あなたがかわいそうでした。
ずっと私の中にいたのに、
ずっと私を守ろうとしてくれていたのに、
私はあなたを面倒な存在のように扱ってしまっていた。
ごめんなさい。
そして、ありがとう。
ずっと私を見捨てないでいてくれて、
ありがとう。
私が自分を嫌いになりそうなときも、
「本当は、あなたはそんなに悪い人じゃないよ」
と教えてくれて、
ありがとう。
私が疲れ果てたときも、
「もう少し休もう」
と教えてくれて、
ありがとう。
私が誰かの顔色ばかり気にしていたときも、
「あなたはどうしたい?」
と聞き続けてくれて、
ありがとう。
これからは、少しずつ一緒に歩いていこう
こころさん。
これからも、
きっと私は迷うと思います。
また、
人の機嫌を気にするでしょう。
また、
「大丈夫」と言ってしまうでしょう。
また、
自分のことを後回しにする日もあるでしょう。
でも、そんなときは、
どうかもう一度、教えてください。
「本当はどうしたい?」って。
そして私も、
あなたの声を聞く努力をします。
すぐに答えが出なくてもいい。
自分の本音が分からなくてもいい。
「分からない」
ということだって、一つの本音かもしれません。
だから、焦らなくていい。
少しずつでいい。
これまで誰かに向けてきた優しさを、
ほんの少しだけ、
自分にも向けてみようと思います。
疲れたら休む。
悲しかったら悲しむ。
嫌だったら「嫌だった」と認める。
嬉しかったら、ちゃんと喜ぶ。
そして、
「今日もよく頑張ったね」
と、自分に言ってあげる。
そんな小さなことから始めてみます。

あなたは、ずっとここにいた
こころさん。
私は、
あなたを探していたのかもしれません。
でも、本当は、
探す必要なんてなかったんですね。
あなたは最初から、
ずっとここにいた。
私が笑っているときも。
泣いているときも。
頑張っているときも。
立ち止まっているときも。
いつだって、
私の一番近くに。
私はただ、
あなたの声を聞く余裕をなくしていただけでした。
だから、これからは少しずつ、
あなたの声に耳を傾けていきます。
そして、もしまた私が、
誰かのために頑張りすぎてしまったら、
「ねえ、自分のことも忘れないで」
と教えてください。
もし私が、
「大丈夫、大丈夫」
と無理に笑っていたら、
「本当に大丈夫?」
と聞いてください。
そのときは今度こそ、
ちゃんと立ち止まります。
そして、
「うん。今日はちょっと疲れた」
と答えられる自分でいたいと思います。
最後に、あなたへ
こころさん。
これまで、
たくさん心配をかけましたね。
そして、
たくさん我慢させてしまいましたね。
でも、もう大丈夫。
……あ。
また言ってしまいました。
「大丈夫」って。
ふふ。
でも、
今度の「大丈夫」は、
無理をするための言葉ではありません。
何があっても、完璧じゃなくても、
自分のこころと一緒に歩いていける。
そんな意味での、
「大丈夫」です。
こころさん。
これからも、
よろしくお願いします。
あなたの声を聞きながら、
あなたと一緒に、
私の人生を歩いていきたいと思います。
今まで、ありがとう。
そして、
これからも、よろしくね。
敬具
私より。

あなたのこころさんからも、手紙が届いているかもしれません
ここまで読んでくださったあなたへ。
もしかすると、あなたの中にも、
ずっと何かを伝えようとしている「こころさん」がいるのかもしれません。
「ちょっと疲れたよ」
「本当は寂しいよ」
「もう少し休みたいよ」
「本当は、嫌だったよ」
「私だって、誰かに大切にしてほしいよ」
そんな声が聞こえてきたら、
すぐに答えを出さなくても大丈夫です。
ただ、
「そうだったんだね」
と、一度受け止めてあげてください。
長い間、
自分より誰かを優先してきた人ほど、
自分の本音を聞くことには時間がかかります。
だから、焦らなくていいんです。
今日、一つだけ。
「私は、本当はどう感じているんだろう?」
そう自分に聞いてみる。
それだけでも十分です。
あなたのこころは、
あなたに何かを要求するためにあるのではありません。
あなたを責めるためにあるのでもありません。
ずっと一緒に生きてきた、
あなた自身の大切な一部分です。
どうかこれからは、
誰かに向ける優しさのほんの少しだけでも、
自分自身に向けてあげてください。
あなたがずっと頑張ってきたことを、
あなたのこころさんは、
きっと誰よりも知っています。
おわりに
「こころさんからのお手紙シリーズ」は、今回で一区切りとなります。
5通の手紙を通してお伝えしたかったのは、
「もっと頑張りましょう」
ということではありません。
むしろ、その反対です。
これまで十分すぎるほど頑張ってきたあなたに、
「もう少し、自分の気持ちも大切にしていいんですよ」
と伝えたかったのです。
人の機嫌が気になってしまうときも。
外に出ることが怖くなるときも。
何をしても自信が持てないときも。
「こんな自分ではダメだ」と思ってしまうときも。
その奥には、
あなたのこころからの小さな声が隠れていることがあります。
その声を無理に消す必要はありません。
まずは、気づいてあげる。
そして、
「そう感じていたんだね」
と、そっと寄り添ってあげる。
そこから、
少しずつ何かが変わり始めることがあります。
もし今、
「自分の本当の気持ちが分からない」
「ずっと人を優先してきて、自分がどうしたいのか分からない」
「自分のこころと、どう向き合えばいいのか分からない」
そんなふうに感じているのなら、
一人で無理に答えを出さなくても大丈夫です。
誰かと話すことで、
自分でも気づかなかった気持ちが、
少しずつ見えてくることがあります。
こころさんからの手紙は、今回で終わります。
でも、
あなたとあなたのこころとの会話は、
これからも続いていきます。
どうかその声を、
今度は置き去りにしないであげてください。
あなたの人生ですから。
あなたのこころと一緒に、
ゆっくり歩いていけばいいのです。


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